勢いで書いてしまった。後悔はしていない。おまけエンディング後の悠海……の想定ですが、おまけEDを見てなくても楽しめると思います。ネタバレもありませんし。(`・ω・´)

テキストよりも挿絵にすごい時間が掛かっているのは内緒だ。なのでクリンナップも色塗りもしません。想像力と妄想力で補ってください。すんません。

作:葵屋かなた



カツッ。カツッ。カツッ。カツッ。
カツッ。カツッ。カツッ。カツッ。

――お手洗いに行きたい。

秋の日、午後の授業。私は尿意と戦っていた。

今日は暑かったから、つい昼休みにお茶を飲み過ぎちゃったのよね……。
リカもガブ飲みしてて、それにつられたのもあるんだけど。
こんなことになるなんて。失敗したわ。

昼休みにお手洗いへ行かなかったとはいえ、
その、アレ……をしたい。こんなにも急に行きたくなるなんて。
ダメ、苦しい。授業に全然集中できない。

カツッ。カツッ。カツッ。カツッ。

私は、落ち着きなくシャープペンで机を叩く。
気を紛らわせたい、ただそれだけの理由で。

カツッ。カツッ。カツッ。カツッ。

授業の終わりまであと15分。14分55秒、14分50秒……。
心を落ち着けて考える。終わるまで我慢できる?

sh01答えは1秒で出た。
もう無理。絶対アウト。15分後なんて、間違いなく間に合わない。

授業中にお手洗いー、なんて小学生じゃあるまいし。
言い出すのは恥ずかしいけど……。

そうはいっても、我慢し続けて漏らすよりはマシだわ。
不本意だけど仕方がない、お手洗いに行かせてもらおう。

瞬間、夏休みのきもだめしのことが頭をよぎる。
あの時も、こんなふうにお腹が痛くて、膀胱はパンパンで。
地獄のように苦しかったわね。

ほんの5秒の逡巡、そして私は立ち上がる……ハズだった。
その直前、大きな音を立てて、後ろの席のリカが急に立ち上がる。

「せんせーおしっこー!」
「速水さん!? 先生はおしっこじゃありません!」

ドッ、と教室が笑いに包まれる。でも私は笑う気分にはなれなかった。
私もまた、「それ」を我慢していたのだから。
人ごとじゃないという思いが強く沸き立つ。

「おしっこ漏れそうなので、トイレ行ってきまーす!」
「まったく、仕方ないわね……早く戻ってらっしゃい」
「はーい!」

……って、しまった。リカに先を越された!
男子から「漏らすなよー」とか声をかけられてる。
やだ……。こんな空気じゃ「私も」なんて言い出しづらい……。

どうしよう。どうしよう。どうしよう。

頭がパニックになり、ジッと座り続けるしかなかった私の前に
突然、リカが顔を寄せてくる。
目をパチパチさせて、こっちを見つめてくるリカ。

「……………………」
「ん? どうしたのリカ」
「…………うーん」
「?」
「よし! ゆーちゃんも一緒に行こうー!」
「へ? は? ななななんで?」

ズルズルズル。

「ちょちょ! ちょっと! 腕引っ張るなー!」

リカが何を考えついたのか、すぐには理解できなかった。

今度は男子から「連れションかー」とはやし立てられる。
恥ずかしかったので「違うわよ!」とは言い返したけれど。

引きずられるまま、私はリカと歩き出す。
でも今は授業中だから、勝手に教室を出るのはマズイわ。
きっと引き留められるだろうと思い、チラッと先生を見ると。

「はぁ……。もういいわ。
 越水さん、速水さんについて行ってあげて」
「あ、はい……」

図らずもOKをもらってしまった。
リカに振り回されてる、とでも思われたのかしら。

……まあいいわ、私もこれで堂々と外へ出られる。
ファインプレイよ、リカ。
私は心の中でガッツポーズをしていた。